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島酒天国25 沖縄通信「うるま」2001.08月号.780yen 表紙(JPG/95.3KB) 「泡盛よもやま話」其の三一 仲村征幸=文 text by Seikou Nakamura 古酒づくり クースづくりの第一番目の絶対条件は壷の厳選である。これを誤ると不味いクースに出来上がってしまう。年代を重ねていくうちに容器臭(現在は容器香という)が出てきて、現代の嗜好にマッチしない味になる。いうところのカーミカジャー(甕臭)である。 確かに熟成は進んで味はまろやかで甘味も出てくるが、香りに難点がある。私白身もこれで失敗を重ねてきた。カーミ(甕)を求める時、実際にその口に鼻を突っ込んで何度も何度も土の臭いがないかどうかを確かめてかってきたのであるが、それでも失敗した。年月が経つに従い土の匂いが染み込むカーミがあるのである。 この容器臭について、日本の名陶工21人に選ばれた島武己さん(中城城跡近くに登り窯を持つ)は次のように話している。 「焼きがあまいから土の匂い赤出るのであり、うんと焼き締めると絶対に出ない」と。 残念ながら私は島さんの壷はまだ一本も手許にない。このクースガーミの選び方についてはぜひ島さんか、本部町谷茶のクースづくりの達人・謝花良政さん、または那覇市安里の居酒屋「うりずん」の土屋寛幸マスターに教えを乞うて欲しい。人のいいこのお三方は喜んでタダで親切丁寧にクースづくり万般について教えてくれると思う。 さて、五升壷、一斗壷、二斗壷などいいカーミを求めたらなるべくそれの肩のところまでシュロ縄で巻かせることをおすすめしたい。これは持ち運びに便利であると同時に、物にぶつかっても割れにくい利点があるからだ。 次に中身の酒を詰めるのであるが、これは各人好みのタイプの味があるメーカーの泡盛を買い入れ詰めればいい。度数は高いほど良く43度ものかそれ以上のをおすすめしたい。30度以下のは年数が経っほど水っぽくなるという説は多くのクースづくりの達人たちの一致した経験談である。 琉球泡盛の品質は戦前は優れた名酒だった。それが敗戦で総て黒麹菌はじめ原料米、技術機器等を失ってしまい手探りでの造りを余儀なくされてしまった。戦後の一時期は粗雑な原料で造られたおかげで不味くて県民にも卑下された苦い想いを背負っている。が、今日琉球泡盛は、その汚名を完全に払拭した。名誉を挽回したのである。従ってクースづくりの親酒は各々が好きな銘柄を選んで、正しいクースをつくることができる。ただしそれはあくまでも冒頭に述べたように壷の厳選が前提である。 琉球泡盛は根が純粋で正直なだけに物に対してすぐに順応する特性があることをしっかりと心得ておくべきであろう。これは我が琉球民族の性格に限りなく似ているようにも思える。 さて、度数の高い泡盛を詰めた壷はどこに置いたほうがよいのか。これにはいろいろな意見がある。四季を通じて温度差があまりない所が良いという説や、自然の状態で置いたほうが良い等の経験談があるが、熟成のテンポを考えると暑さ寒さの自然状態のままのほうが良いのではなかろうか、と私は考えている。そして時々その壷に振動を与えることだ。そうすることによってアルコールと水の会合が早まる、つまり熟成を促すことになる訳である。さらに3〜4年に一度は汲んで味見することをおすすめしたい。正しく熟成しているかどうかを確かめること。 琉球泡盛はびん詰めのままでも熟成することは私の体験上実証済みであるが、壷詰めのクースのほうが味に深みがある感じがする。いずれにしてもクースづくりは一日でも早く始めたほうが勝ちである。 ![]() なかむら・せいこう 沖縄ヘラルド・沖縄朝日新聞 琉球新報・沖縄グラフ社を経て 1969年5月、醸界飲料新聞を創刊 現在に至る。 福を請う島の酒。![]() 第25回目 請福酒造 ――― Seihuku Shuzou ――― 島の時間にしか 造れないもの。
写真(右):創業当時のシンポル的商品。味が濃く泡盛好きに好まれる、昔の味が懐かしいずっしりとした重みのある逸品である。「請福」30度、600ml、591円。写真(左):商品は芳醇な妹と薫りが特徴の古酒「10年請福」。まろやかさの中にずっしりとした重みがある。「10年請福」35度、10年古酒、720ml、2389円。 「福を請う」として、昔から豊年祭りには請福と記した旗頭を掲げ、下村の若者衆が力と技を競い、豊年祈願と共に祭りを楽しんだ。そんなことから村の幸せを請い願い命名された請福酒造の泡盛。 自然豊かな石垣島新川で、1949年に先代故・漢那憲副氏が「漢那酒屋」として酒造りを始めた請福酒造は、全国に多くのファンをもつ八重山を代表する酒造所である。 「自分の汗水流して造ったお酒が評価されることがとてもうれしいですよ。消費者の二ーズに合わせた酒造りを心がけていますが、いまは水割りやロックで飲む人が多いので、割ることを考えた泡盛を造っています」
写真(左):酒造所2階には泡盛博物館があり、昔の泡盛造りの農具や懐かしいラベル、文献などが展示さ机ている。どんな酒が好まれるのか、消費者の嗜好を探るのに必死だと二代目である漢那憲仁さんは語す。飲みやすく軽快なものと、こくがあって芳醇な通好みのものとの二極分化、そして古酒。それがいまの流れだともいう。 「正月に21世紀を記念して完全手造りの泡盛に挑戦したんですよ。米を蒸すのに1日、麹造りに2日間、蒸留に1日、一升瓶7本分の泡盛を造るのに4人掛かりで4日間もかかりましたよ。麹造りが特に大変で、2日間寝ずに冷やしたり、温めたりと、30分おきに混ぜてました。昔の人達の苦労がよく分かりました」
写真(左):今年から始める貯蔵サービス用の一斗甕が列ぶ。甕ごと購入し数年間寝かし古酒を育てようというもの。もちろんその間大切に管理してくれる。請福酒造では昨年から「世紀の百年古酒プロジェクト」もスターとした。泡盛造りの技術が確立されているいまではそうでもないが、昔は麹、酵母づくりがとにかく大変だったという。腐造菌がでると工場内や洋服、溝など隅々まで菌が広がり染みついて、なかなか立ち直らせることができない。後から造る酒もほとんど感染してだめになってしまうという。昔は酒が売れると量産しでは腐造菌をだして倒産してしまう酒造所が多かったそうだ。造る量が増えれば管理も大変になる。復帰後、石垣島だけでも30社あった酒造所がいまは6社に減っているが、そういった理由で倒産してしまった所も多いという。 「昔の泡盛造りは菌との闘いだった」と漢那さんは語す。 「酒屋というのは楽な仕事でなく、将来どうなるか見当もつかなかったので跡を継ぐ気はあまりなかったですね」 高校卒業後跡を継ぐために大学の醸造課へ進学。以来30年、泡盛造りに携わってきた漢那さん。いつまでも福を請い願い続け、人々に幸せをもたらす、そんな泡盛を造り続けて欲しい。
写真(右上):八重山産米「ひとめぽれ」を100%原料とした「やいま」。飲みやすく美味。沖縄産米を使った唯一の酒で、いま話題の泡盛である。「やいま」30度、600ml、591円。写真(右下):青い海を連想させる手作りの沖縄瑠璃硝子のポトルに、ラベルと紐は月桃紙を使用している人気の泡盛「海の道」35度、8年古酒、720ml、3624円。「自然水仕込み・請福」に使う水は於茂登岳までタンクローリーで出かけて、2時間かけて取水しているそうである。 写真(下右):「南雪」は、冷害の時に種もみを送ったのがきっかけで、岩手県産米「かけはし」を使用し造った岩手限定販売の珍しい泡盛。「南雪」25度、720ml、1442円。 写真(下左から):「請福ファンシー」35度、5年古酒、720ml、1381円。真ん中の2本は、於茂登岳の自然水で造られた「自然水仕込み・請福」30度、600ml、591円。720ml、803円。 ![]() 写真(上左):92年に請福酒造有限会社に社名を変更。現在スタッフは35人。工場長の漢那憲一さんを中心に泡盛造りに励んでいる。請福酒造では、泡盛にもビンテージ表記を採用し、製造年度、瓶詰年を明記するなど、さまざまな試みを行っている。社長の漢那憲仁さん(51歳)。
写真:工場横には試飲もできる売店が併設されている。石垣塵の工房で造られ
た酒姜蔓や酒器も多数販売されている。他1こも石垣島の特産晶やお土産も血
ここの2階に泡盛博物館がある百■請福酒造 有限会社 電話/0120-143-166 |